イスの修理屋さん

今年は なぜか週末によく雨が降る。

青空が見えた思っても、すぐ後ろから灰色の雲が風に乗ってやってくる。

陽がさしているのにドシャブリの雨･･･なんてことも。

雨の日は、外遊びをする気にはなれない。

「何して過ごそうかな〜」

そう言いながら、彼がテラスにイスを持ち出した。

このイス、小屋を建てている時にご近所さんが「休憩時にでも外で使ってもらえれば･･･」と言ってくださったものである。

当時イスの座面布は薄くなっていたとはいえ、クッションが出る程ではなかった。

作業合間のティータイムやランチタイムなど、イスはお庭で大いに活躍した。

小屋の内部作業をしている時には、時々脚立代わりとしてこき使われた。

小屋が完成してからも、「とりあえず･･･」と言いつつ、室内やテラスで食卓を囲む時のパートナーとなっていた。

今や大切なイスである。
そろそろ座面布を取り替えて、リフレッシュしてあげる時だろう。

「私が自分で張り替える !」
「無理だよ。職場の近くに イスの修理屋さんがあったから、そこへ依頼してもいいかな。」

「座面を外して 布を取り替えるだけなので、難しくないはずよ。ちゃんと本でやり方を見たんだから。」
「え〜、本当にできんの〜? まぁ、挑戦してみるのは勝手だけれど･･･」

ということで、早速布を買いに出かけた。

しかし、その時になっても、
「できるかどうかわからないんだから、端切れでとりあえず１つか２つかやってみたら?」
と全く私の言うことを信用していない。

結局、２つ分がかろうじて取れる端布を購入した。

「明日は雨だから、イスの張替えをしようかな〜!」

昨夜、そう宣言した私だった。
それなのに･･･

なぜか彼がテラスにイスを運び出し、座面をとめてあるビスを外している。

「布、どこ? 持って来てよ〜」
(あらら、どうやら自分でやる気らしい･･･)

私は布を手渡した。

布を座面サイズに合わせてカットし、端がほつけないように折り返しながらタッカーでとめる。

「あれ? 古い布を外さないの〜?」
「いや、強度を考えて、古い布をそのままにして上から新しい布をかけるよ」

ホッチキスの親分『タッカー』で パチパチパチと･･･。
「簡単だな〜」

そして座面をイスにビス固定。

「あれ? 裏布を当てないの〜?」
「いや、いつでも取り替えられるように、そのままにしておくんだ」

「ビフォ〜! アフタ〜!」なんて言って楽しんじゃってる。
そして気をよくして、もう一脚･･･。

ということで、彼が全部やっちゃった〜。Good Job!

「私がやろうと思っていたのに、手柄ドロボー!!」

でも、残り２脚も よろしくねぇ〜!